あらすじ
祖母と孫娘の、笑って泣ける英国珍道中！！
正月の親戚の集まりで英国留学の思い出話を披露した孫娘（著者）に、祖母が「一度でいいからロンドンに行きたい、お姫様のような旅をしたい」と告げたことから、一族総出で支援する5泊7日の豪華イギリス旅行が決定！
だが、そもそも著者が留学で培ったのは「行き当たりばったり体力勝負の低コスト海外滞在」ノウハウで、高齢の祖母をお姫様のようにもてなす旅とは真逆のスキルだ。資金面こそ親族の全面フォローがあるが、慣れないツアコン（秘書）役を任命された孫娘の心には不安しかない。
しかし、いざ現地に到着してみれば……大英博物館、ロンドン塔、ハロッズにフォートナム＆メイソン、ロンドン三越にオリエント急行、5つ星ホテルのおもてなし、そして憧れのアフタヌーンティー……初めての祖母とのふたり旅は、楽しみもトラブルも山盛りで毎日が刺激的だ。果たして著者＝《秘書孫》は、強くてキュートな《祖母姫》を満足させることができるのか？
頑固で優雅な祖母姫の名言続出！ 底抜けにおもしろく、やがてホロリとする――著者がまだ「コムスメ」だった頃の、「自己肯定感」にまつわる極上エッセイ!!
＜出版社より＞
本屋さんでまず目を惹いたのが、スコーンのちぎり絵。
こちらよく見ると新聞でちぎり絵作ってあるんですよ。御歳94歳のセツさんが作られているんです。
セツさんはリハビリで始めたちぎり絵が爆発的にヒットした奈良在住の方なんですが、著者の椹野道流さんはこのセツさんのちぎり絵の大ファンで、「晴耕雨読に猫とめし」の連載を本にするにあたり自らセツさんに表紙をオファーされたそうです。
で、その際にセツさんのマネージャー的存在の娘さんから、「母は美味しいものしか作らないので…スコーンは食べたことがなくて…」と言われ、椹野さんは自分史上No.１のスコーンを取り寄せ食べてもらったのだそうです。
その後、娘さんから「大変美味しかったのでちぎり絵にさせてもらいます」と母が言っております、とお返事をいただけたんだそうです。
椹野さんの作品はこちらが初読でして、ご本人は医師であり、BL愛好家でもあり、そして熱烈な猫ラヴァーだそうで、猫のために家で仕事ができるようにと作家デビューされたんだそうです。
さて、こちらの作品自体は作者が若かりし頃、本人曰く「コムスメ」だった頃にお祖母様のお供でロンドンへ行った際のエッセイとなっております。
帯を見ただけで、おもしろおかしい珍道中が読めるのだろうなと表紙のちぎり絵と併せて即買い決定だったんですが、意外や意外。お祖母様の立ち居振る舞いに畏敬の念を抱き、やがてホロリとくる場面も。
このお祖母様、とんでもなく自己肯定感が高い。こんなにも自分を誇らしく素晴らしい人物だと思っている人っている⁉︎ってくらい高い。
最初は「いやいやいや…」って著者と一緒になって突っ込みながら読んでいたんですけど、お祖母様から語られる言葉からその自信の裏付けやそこに至るまでの努力を読み取るにつれ、この自己肯定感の高さにも納得。むしろ見習うべき人物と尊敬いたしました。
「「もっと綺麗になれる、もっと上手になれる、もっと賢くなれる。自分を信じて努力して、その結果生まれるのが、自信よ。」
祖母の言葉には少しの澱みもなく、でも同時に、驕りもありませんでした。」
本文より
そして、ロンドン滞在中のこちらのホテル。
名前は明かされていませんが５つ星クラスのホテルなのでしょう。ドアマン、フロント、バトラー、その他全てのスタッフ・サービスが超一流。
ホスピタリティの素晴らしさ！こんなホテルに一生に一度でいいから滞在してみたい。そしてティムにアテンドされたい！
祖母ロンを読んだ方々から「もうティムってば〜！」の声が続々寄せられてるのだとか。
そしてやはりスコーン。スコーンなしではこのお話は成り立たないでしょう。
私も美味しいスコーンを探して、クロテッドクリームも添えて、祖母ロン片手にお茶します！