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和書 読書

物語の種<感想> ”読めば心が躍り出す。ほっこり&胸キュン全十篇の物語!”

あらすじ

読めば心が躍り出す。
ほっこり&胸キュン全十篇の物語!

宝塚オタク、宝塚OGが読んでも沼る!
どこから読んでも面白い!
もはや『沼の種』!
有川先生、あなたは天才ですか?!
――紅ゆずる(女優/元宝塚歌劇団星組トップスター)

第一話 SNSの猫 
SNSで目にした保護猫に心を鷲づかみにされた主人公。ある日、事件が起きて……。
第二話 レンゲ赤いか黄色いか、丸は誰ぞや 
祖母を亡くした妻、父を亡くした旦那。二人の会話から見えてきたのは……?
第三話 胡瓜と白菜、柚子を一添え
 静岡生まれの旦那の実家にて、高知生まれの妻は何を思う?
第四話 我らを救い給いしもの
 中学の社会の時間にクラスメイトが発したある意見に、主人公は痺れた。
第五話 ぷっくりおてて 
小学生の夏休みに祖父の家に預けられた主人公の、ほのぼのハッピーな成長譚。
第六話 Mr.ブルー
 ある家電メーカーで出世街道驀進中の研究所長には、意外な秘密があった。
第七話 百万本の赤い薔薇
 ある夫婦の、40年にわたる結婚記念日の物語。
第八話 清く正しく美しく
 エステサロンに勤める主人公。強欲な店長の元で働くことに悩んでいて……。
第九話 ゴールデンパイナップル 
祇園祭によさこい祭。祭の復活は、やっぱり嬉しいもので。
第十話 恥ずかしくて見れない
 ある家電メーカーで働く主人公は、3歳年上の先輩のことが気になっていた。

<出版社より>

 

 

読者からの投稿を「種」として小説を芽吹かせちゃおう!というコロナ禍真っ只中に起ち上がった企画もの。
何がすごいって、読者から寄せられた何気ない投稿をもとに次から次へとこんなクオリティ高い短編が生み出されるって事ですよ。
そして一冊の短編集にまで。小説家ってすごい。文章力じゃなく、その想像力・妄想力が。
有川ひろさんはお気に入り作家さんですが、読みやすい文章、身近な題材で読者を惹きつける手腕、幅広いジャンル、どれを取っても大好きなんですが、私が一番素晴らしいと思っているのはその「企画力」。
以前から自らが書くだけで終わらず、販促にまでアイデアを出しているっていうのは知ってたんですよ。
しかもそのアイデアは興味深いものが多く、責任もって自分の商品を世に広める。これぞエンタメ小説作家って思ってたんですよね。
でも、今回の企画には驚かされました。
コロナ禍でどこにも出掛けられないよ、本でも読むか、でも本屋に行くのも憚られるよね、ネットで買うか、本屋で思いもかけない掘り出し物を発掘する楽しさがなくなったな…。

じゃあ、ネットで遊んじゃえ!こんな時こそエンタメ大事!魂の休息だ!

てな具合で、約2年間ネット上で遊んだ結果がこちらの本です。
こんな楽しくて癒される遊びがあったでしょうか。本好きにはたまらない。有川ひろさんと同じ時代に生きていることに感謝したい。

 

【SNSの猫】
猫好きさんならわかるはず。一度手を出したらハマって抜けられなくなるのが分かってるからこその躊躇。そして主人公2人の行く末にも想像が膨らみます。

【レンゲ赤いか黄色いか、丸は誰ぞや】
記憶・知識が雑。あるよね、わかるわかる。しかも相方がその方面に詳しいと覚える必要ないやん、て思っちゃう。有川ひろさんご夫婦の実話も交えながらこちらも日常をしんみりほっこりと。

【胡瓜と白菜、柚子を一添え】
こんなざっくりした質問からこの短編生まれます?日常のほのぼのマウント合戦。思いがけぬところで「ゆず、香る」の2人のその後が読めて小躍り。2人のルーツも知れて一粒で2度美味しい。

【我らを救い給いしもの
】
何気ないやり取りの中でうっかり刺さった小さいトゲ。でも他愛無いやり取りができる相手がいるだけで浮上することって多々あるよね。
作中に著者の作品が。未読の人には気になる仕様になっております。商売上手ね、有川さん。

【ぷっくりおてて】
都会っ子の孫と農家のじいちゃんの交流。ぷっくりおててからこの流れ。恐ろしい妄想力。

【Mr.ブルー
】
ここ近年、宝塚の沼にハマった作者らしい作品。宝塚ファンでなくても宝塚が気になる作品。Mr.ブルー
とお近づきになりたい。

【百万本の赤い薔薇
】
ちょうど私の親世代を描いた作品でしょうか。でも仲のいいロマンチックなご夫婦。共に培ってきた年月、いいですね。

【清く正しく美しく
】
元タカラジェンヌからの種。ジェンヌはどこまでいってもジェンヌなのか…。こちらに出てくる元ジェンヌさんのお店、行ってみたくなりました。

【ゴールデンパイナップル】
地元の祭りって地元民には一大イベントなんですね。いろんなお祭りが復活してきて嬉しい限り。
それとは別に登場人物お二人。どちらの立場も心情がよくわかる。両視点から描かれていて、根っからやなヤツってそうそういないよね〜って和みました。
ところでミックスジューススタンド、どこにあるんだろ?飲みに行きたい。
→行ってきました!細かい氷が喉を潤して最高でした!ちょうど居合わせた親子がメロンミックスジュースを頼んでいて「おー!」ってなりましたw

【恥ずかしくて見れない
】
再び宝塚。作者のヌマりっぷりがよくわかりますね(笑)。ここでMr.ブルー再登場。ここでもいい味出してる。

 

個人的にお気に入り作品は【レンゲ赤いか黄色いか、丸は誰ぞや】。
2人の掛け合いが軽快で、こういうところが有川作品の良さだなと思っています。

ギクっとした言葉は【SNSの猫】。
「正義という果実を貪りたい奴らが寄ってたかってかわいい猫を脅かす。正義なんかクソだ。」本文より
賢しげに正義を掲げる人間にならぬよう日々努力。

芽吹いたその先を楽しく妄想してみませんか?

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