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和書 読書

猫を処方いたします。<感想> “大丈夫ですよ、だいたいの悩みは猫で治りますから”

あらすじ

京都市中京区の薄暗い路地にある「中京こころのびょういん」。心の不調を抱えてこの病院を訪れた患者に、妙にノリの軽い医者が処方するのは、薬ではなく、本物の猫だった!? 戸惑いながらも、決められた日数、猫を「服薬」する患者たち。気紛れで繊細、手がかかるけど愛くるしい猫と暮らすことで、彼らの心も少しずつ変化していく。そして医者が猫を処方するのには、ある「理由」があって――猫と人が紡ぐ、もふもふハートフルストーリー!

<出版社より>

 

「本物の猫?」
「よく効きますよ。昔から猫は百薬の長って言いますからね。ああ、つまりそこらへんの薬よりも、猫のほうがよう効くいう意味ですわ」
困惑する秀太に医者が小さな紙を一枚渡した。
「こちら処方箋になります。受付でいるもんもらって帰ってください。では、次は一週間後ということで」

本文より

 

本屋さんで目が合った瞬間に一目惚れ。即、手に取りお買い上げ。
タイトルもカバー絵もなんてあざといの。猫好きのハートを鷲掴みじゃないですか。

「中京こころのびょういん」には風の噂を頼りにやってくる様々な悩みを抱えた患者たち。
それぞれ悩みは深刻で、藁をも掴む勢いで辿り着いた病院には無愛想な看護師の千歳と掴みどころのないニケ先生。
本当にこの病院は大丈夫なのかと半信半疑で悩みを打ち明けてみるも聞いているのかいないのか。
まず、この時点で心が折れるますよね。せっかく辿り着いた病院でこんな対応されちゃったら。
おまけに処方されるのは猫。聞き間違いかと思いきや本物の猫。

いや、発想がすごいなと。
確かに猫好きさんは毎日猫に癒されたい。四六時中吸っていたい。猫と居るだけで全ての悩みが消えちゃうんじゃないかと本気で思えますし、実際の研究でも猫を飼っていると寿命が延びる言われていますものね。
でも本当に猫そのものを処方するなんて!
されたい!実際に猫を処方されたい!

物語で処方される猫たちは本当に何の変哲もない猫たちなんです。保護施設の猫だったり、ペットショップで売れ残っていたり、猫カフェで働く人気猫だったり、それぞれ立場は違うのですがごく普通の猫たち。処方された後も猫らしく警戒したり、愛らしい仕草でみんなを魅了したり。なんにも変わりがない。
でもね、変わっていくのは人間なんです。確実に猫に癒され、時には諭され教えられ…。猫に引っ掻き回され、でもふとした時に見方が変わってくる。
たとえ状況は変わっていなくても今までと違う視点で考えている自分がいる。
このお話ではそのきっかけが猫なんですけど、こういう事ってたまにありますよね。大きな変化があったわけではないけれど、ふとした瞬間に固定概念が覆される。もしくは徐々に自分の変化に気づく時って。
そういった心の変化をさりげなく、大袈裟ではなく、自然に描いてくれている作品です。

三話目、四話目と読み進めていくとこの不思議なニケ先生と看護師の千歳さんの正体も明らかになってきます。
二人は予約の患者さんを来る日も来る日も待ち続けているのですが、来るのは噂を頼りにやってくる新患ばかり。
二人の待ち続けている予約の患者さんは果たしてやって来るのか。

読み終わった後、飼い猫・飼い犬に向かって「絶対何がなんでも幸せにするからね!」と宣言しました(笑)。
続編希望です!出たら速攻で買います!

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