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和書 読書

私たちの金曜日<感想> ー女子だって懸命に働いているー

あらすじ

ただ普通に心地よく働きたいだけ。自分らしい働き方を探すアンソロジー。
ストレスから職場を転々とする会社員、小壜をロッカーに隠し持つミステリアスな同僚、上京した売れない地下アイドル、30歳の誕生日を迎えた小説家、育ち盛りの子供を抱える自衛官のパイロットなど……思い通りに仕事をすることが叶わないなかで働く様々な女性たちを描いた短編7作品を収録。
周りと比べたり、羨んだり、もう辞めてやると思ったり。それでもなぜ、私たちは働くのか。「働く」の今を知るためのアンソロジー。

<出版社より>

 

 

社畜 (山本文緒『ファースト・プライオリティー』(角川文庫)所収)
美女山盛 (田辺聖子『日毎の美女』(講談社文庫)所収)
こたつのUFO (綿矢りさ『意識のリボン』(集英社文庫)所収)
茶色の小壜 (恩田陸『図書室の海』(新潮文庫)所収)
神様男 (桐野夏生『奴隷小説』(文春文庫)所収)
おかきの袋のしごと (津村記久子『この世にたやすい仕事はない』(新潮文庫)所収)
ファイターパイロットの君 (有川ひろ『クジラの彼』(角川文庫)所収)

解説 三宅香帆

〈出版社より〉

「社畜」
なるほど、確かにこれも社畜よね。新たな視点。
社畜と言えば、身を粉にして働き会社の為になりふり構わず働く、出世の為にプライドを捨てる、みたいなイメージでゴリゴリだったんですけど目から鱗でした。

「美女山盛」
あー、平々凡々とした顔立ちの私からしたら美女は纏めてひっくるめて〝美女〟だったんですけど、美女にも色々あるんですねぇ。

「こたつのUFO」
小説家の頭の中ってどんな感じなんでしょう?
本好きだけあって私もたいがいおかしな夢とか想像とかしますけど、さらにとっ散らかってそうですよね。

「茶色の小壜」
結局、小瓶の中身は何だったのか…?私の想像したもので合ってるのか…?違う形で記念品を貰うとは…?
なかなか手強い短編でした。

「神様男」
楽な仕事なんてないんですねぇ。華やかに見えてもアイドルって大変。それより何より頑張ってる子には申し訳ないけど、そんな神様は納得いかないなぁ。

「おかきの袋の仕事」
前半の仕事に前のめりになっていく様と、後半の仕事から離れたくなる様がほんと共感できる。

「ファイターパイロットの君」
「絶対君にF-15を降りてくれなんて言いません。だから結婚してください。」(本文より)相当な覚悟ですよね、この台詞。職業こそ特殊だけど、結局悩みは同じなんですよね。

 

オーソドックスな会社を舞台にしたものから特殊な職業までありとあらゆる「お仕事」が描かれているけれど、共通して言えるのはだだシンプルに男女平等に普通に働きたい、それだけなんですよね。でもそれも難しいという現実も踏まえた上で面白おかしく小説という形で楽しませてくれて、本当にありがとうございますって感じです。
それぞれ書き下ろしではなくどれも発表済みの作品なんですが、1作を除いて未読なものばかりでしたので色々な作家さんのつまみ食いが出来て楽しかったです。
編者の三宅香帆さんがおっしゃってましたが、この順番も重要。生臭くドロっとしたものから最後は爽やかなものへと繋がっていく短編たち。なるほどライブのセットリストみたいなものかと納得。お気に入りの作家さんから読むのもいいですが、ぜひ順番通りに読み進めてみてください。流れるようにラストまで突き進めますよ。

 

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