あらすじ
「旅猫リポート」
この絆は、恋愛を超える。カギしっぽのナナと心優しい青年サトルの、最後の旅の物語。
野良猫のナナは、瀕死の自分を助けてくれたサトルと暮らし始めた。
それから五年が経ち、ある事情からサトルはナナを手離すことに。
『僕の猫をもらってくれませんか?』一人と一匹は銀色のワゴンで”最後の旅”に出る。
懐かしい人々や美しい風景に出会ううちに明かされる、サトルの秘密とは。永遠の絆を描くロードノベル。〈出版社より〉
「みとりねこ」
稀代のストーリーテラーが綴る7編、7匹の物語。
時間は有限。出逢いは無限。
『旅猫リポート』外伝2編も収録!
猫の浩太は、一家の長男・浩美と生まれたときからずっと一緒。
もう二十歳を超えるけど、年齢を感じさせないピカピカの毛並みがご自慢。
いつも醤油にひたした肉球で、テーブルクロスにハンコをペタペタ。
さて、念入りな肉球ハンコのわけは――?
きっとあなたの宝物になる。猫とあなたの7つの物語
<出版社より>
【旅猫リポート】
吾輩は猫である。名前はまだ無い。ーーーと仰ったえらい猫がこの国にはいるそうだ。
僕はサトルの一匹の猫だ。サトルは僕のたった一人の相棒だ。
そろそろ僕のリポートもおしまいに近づいた。
ーーー僕のリポートはもうすぐ終わる。
それは決して悲しいことじゃない。
僕らは旅の思い出を数えながら、次の旅へと向かうんだ。
先に行った人を思いながら。後から来るひとを思いながら。
そうして僕らはいつかまた、愛しいすべてのひとびとと地平線の向こうで出会うだろう。
【みとりねこ】
「猫って、十年生きると化けるんだって。……あれ、二十年だったかな」
「猫又になるんだ。しっぽが二叉に割れるんだ」
ああ、でも浩美を看取ってやれないことは残念だよ。せっかくさつきちゃんが猫又のことを教えてくれたのに。
拇印も上手に押せるようになったのに。
たった一日、浩美よりも長生きできたらそれでよかった。
でも、浩美はもうすっかり大きくなった。大きくなって、丈夫になって、背も家族の中で一番高くなった。もう浩太が登れないくらい。
だからきっと大丈夫。
〈本文より〉
「旅猫リポート」は福士蒼汰さん主演で映画化もされました。こちらもリアルタイムで映画館で鑑賞。
号泣したのを覚えています。
ねこと人間、相棒同士での素敵な旅物語です。
「みとりねこ」は短編7篇。「旅猫リポート」のアナザーストーリーも読めるし、有川ひろさんの他の作品のスピンオフも。
あらためて他の作品も読み返したくなります。
どちらも切なくなるんですが、どの猫たちも幸せだったんだなと心が慰められるストーリーです。
自分の飼い猫も、願わくばこの子たちみたいに幸せであってほしい。幸せだと思ってくれていたらいいな、と。
大好きすぎて英語版も電子版もAudibleも購入した作品です。
少しでも多くの人に読んでもらえたら嬉しいな。